べにや 呉竹  北陸/福井縣/蘆原溫泉

べにや

呉竹

北陸/福井縣/蘆原溫泉

日本人の心を大切に、贅を尽くしたおもてなし。

災難を乗り越えて今に残る老舗旅館

 明治16年、もとは低湿な沼地だったところを一人の農民が井戸を掘ったことから開湯したという芦原温泉。
 昭和に入り、福井大震災や芦原大火など度重なる災難に見舞われたが、そのたび住民を挙げての復興への努力が実を結び、今では関西・中京の奥座敷として、年間100万人以上の観光客が訪れる人気の温泉街へと発展した。
 「べにや」は、芦原温泉開湯とほぼ同時期の明治17年に創業した、芦原温泉随一の老舗旅館。
 昭和31年の芦原大火からの復興を祈念して玄関脇に移植された、樹齢200年を超える椎の大木に迎えられて玄関を入り、朱色のカーペットが敷かれたラウンジのソファーに落ち着けば、大きな窓の向こうには美しい庭園が広がっている。
 ロビーが入っている本館と客室が配されている中央館、東館に囲まれるようにしてあるこの500坪にもなる池泉回遊式庭園は、観光造園家として著名な吉村巌氏の代表作といわれる北陸屈指の名庭園だ。
 春には躑躅、藤の花を咲かせ、蛍舞い飛ぶ夏から秋の紅葉、そして冬を迎え雪吊りされて静かに雪を纏うまで、豊かな北陸の四季を美しく魅せてくれるこの「べにや」自慢の庭園は、芦原大火の後「べにや」を再建する際に造られて以来60年、設計家が造り上げた計算された美しさから年月を経てなお一層自然の美しさを増して、これからも旅人を癒してくれるに違いない。

数寄屋の粋を感じる特別室「呉竹」

 「べにや」の三つの建物、「本館」「中央館」「東館」は、その入母屋破風や切妻破風を組み合わせた屋根装飾や、袋床、掛込天井など数寄屋造りの造作が随所にみられる客室などが近代和風建築の典型例であると評価され、平成27年に温泉旅館としては福井県内で初めて有形文化財に登録されている。
 その「べにや」が誇る最高峰の特別室、それが「呉竹」だ。
 特に昭和の大スター、石原裕次郎氏が静養のために長期滞在したという逸話でも知られている。
 その間取りは十畳の本間に加え寝室、次の間の他に踏み込みとパウダールームまで備えた非常に贅沢な造りになっている。
 華美な装飾を排し、さりげない意匠を凝らした数寄屋造りらしい閑かな空間の本間には、雪見障子を介して柔らかい陽がふり注ぐ。
 障子を開け放てば、目前にあらわれる四季折々の庭園美に思わず頬が緩むことだろう。 源泉掛け流しの温湯が滔滔と注がれる湯けむりと爽やかな桧の香りに包まれた桧風呂は壁一面に大きな窓が取られ、坪庭の青々とした緑が目に優しい。
 これぞまさに、日本旅館の真髄――数寄屋の粋が感じられる空間で、ゆったり至福の時間を過ごしていただきたい。

開放的な大浴場と庭園に溶け込んだ露天風呂

 「べにや」には、地元福井でとれる笏谷石や黒みかげ石を使った大浴場と、四季の移ろいを感じられる露天風呂、そしてあらゆる材に桧を使用した「総桧造り」の貸切桧風呂がある。
 大浴場と露天風呂は男女交代制で、貸切桧風呂は空いていれば何度でも無料で利用できるシステムになっている。
 天井が高く、15人以上は入れるだろう開放的な大浴場に身をゆだねれば、芦原のまろやかな湯が身体を包み込み心からほだされる。
 いっぽう自慢の庭園を愛でながら浸かれる露天風呂は、大小の岩を配した野趣溢れる造り。
 緑が清々しい昼間と、ライトアップされた光の中から風の音や虫の声がかすかに耳に届く夜と、異なる湯の贅をぜひ感じてほしい。

完全部屋食でいただく逸品の懐石料理

 芦原といえば越前・若狭の海の幸と山の幸が揃う、素材の素晴らしい料理が何より愉しみだという人も多いはずだ。
 これらをもって料理された美味は、客人への最高のおもてなしの一つだといえよう。
 「べにや」では、その新鮮な素材一つひとつを女将自らが厳選し、さらに素材本来の旨みを料理長が匠の技で引き出し季節の懐石料理に仕上げる。
 春の桜鯛、夏の鱧などに料理長が遊び心を加えれば、それはまたたくまに芸術品になるのだ。
 「健康朝食」とうたう「べにや」の朝食の一押しは、福井県産大豆100%使用の豆腐をつかった湯豆腐。
 また料理に使われる玉子は、近隣の契約農家が「べにや」のためだけに放し飼いで育てられている鶏のものだという。
 味はもちろん素材の鮮度、料理法の工夫から器のセンスまで老舗を再確認できる朝ごはんで一日を始めていただきたい。
 なお「べにや」が夕食・朝食共に完全部屋食なのは、他の目を気にせず家族、友人とのかけがえのないひとときを十分に愉しんでいただきたい、という「べにや」ならではのおもてなしの心だ。

 古きから現代へと引き継がれる老舗のおもてなしに魅せられ、「べにや」にはこれまで数々の著名人が宿泊してきた。
 明治時代には伊藤博文や後藤新平ら政治家が利用し、昭和に入ってからは、皇太子・皇太子妃時代の今上天皇・皇后両陛下をはじめとする皇族方や、石原裕次郎氏、直木賞作家の水上勉氏もここに宿をとった。
 事程左様に「べにや」が選ばれるのにはきっと理由があるのだろう。

 「べにや」の常連だったという上方喜劇の作家、脚本家として絶大な人気を誇った花登筺(「はなとこばこ)氏が色紙に書いた「日本になくなった日本の宿 べにや」。

 決しておごらず、そしてきめ細かい心配り。
 いみじくもこの言葉がふさわしい、日本人が「また来たい」と思わずにいられない宿、それが「べにや」なのだ。

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追加有興趣的房間清單

photo

  • 大浴場

  • 露天風呂

  • 露天風呂

  • せいこがに御飯

detail

間取り 本間(十畳)+床の間+次の間+寝室+パウダールーム+檜風呂(100%源泉かけ流し)+踏込み付き
設備 テレビ、ウォシュレットトイレ、冷蔵庫、金庫、ドライヤー
アメニティ 浴衣、丹前、足袋、化粧品(乳液・化粧水)、歯ブラシ、タオル
チェックイン・チェックアウト [チェックイン]14:00 [チェックアウト]10:00
駐車場 20台(無料)
カード VISA / MASTER / JCB / UC / DC / SAISON / DINERS
ご注意
  • 「呉竹」は喫煙可。館内喫煙可。
  • ペット同宿 不可
  • バリアフリー 非対応

温泉

源泉名 べにや使用公認泉井番号 第15号、第16号、第17号、第18号
泉質・泉温 ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(等張性中性高温泉) 65℃
適応症(効能) きりきず、やけど、神経痛、筋肉痛、慢性消火器病 等
温泉の利用形態 自家源泉で動力泉、源泉かけ流し、加水有り、加温有り、一部水道水使用
特徴  芦原温泉には全部で74本の源泉があるというが、湯の共同管理をしておらず、各施設・宿で温泉井戸を持っている。
 そのため、個々で違った湯の感触を愉しむことができるようだ。
 「べにや」の源泉数は4本。
 霊峰白山より湧き出た恵みの湯で、いわゆる食塩泉とされ、汗の蒸発を防いで保湿作用があり、湯冷めしにくいといわれている。
 きめ細やかな湯が、しっかり身体の芯まで温めてくれるはずだ。

おすすめ

 「べにや」には“お客様係”というスタッフがいる。
 客人の意向をさりげなく聞き、それに相応しいスタッフを客室専属にするのだが、リピーターには前回と同じスタッフを付けるのだという。
 客人とコミュニケーションを密に図り、要望を聞き出しやすい環境にする気配りなのだ。
 このきめ細やかなおもてなしこそが、長きにわたり有名老舗旅館として数多くの要人からも愛された理由なのではないだろうか。

観光スポット

東尋坊(坂井市三国観光協会)(東尋坊観光遊覧船株式会社)

TEL 0776-82-5515
(坂井市三国観光協会)
0776-81-3808
(東尋坊観光遊覧船株式会社)
アクセス 車 約10分

 東尋坊といえば、荒波舞う勇壮な景観が有名だろう。
 一説によると、東尋坊というのはその昔いた暴僧の名前。
 恋のライバルに絶壁の上から突き落とされ、その無念から海が大荒れとなりこの辺り一帯を東尋坊というようになったという。
 荒々しくカットされた岩は、国の天然記念物に指定されている。
 波の浸食を受けて芸術的な岩が形成されており、これほどの柱状は地質学的にも非常に貴重らしい。
 約1kmにも及ぶ絶壁に日本海が打ち寄せるさまは、まさに豪快。
 海上からの眺めも一味違った素晴らしいものなので、定期的に出航する観光遊覧船に乗ってみるのもいいだろう。

三国町海浜自然公園

TEL 0776-82-2743
(坂井市海浜公園センター)
アクセス 車 約10分

 越前加賀海岸国定公園の中にあり、総面積約約23万㎡を誇る。
 広大な敷地内には50種類以上の野鳥が生息しており、梅や紫陽花など、四季を通じて様々な草花が咲き誇る。
 鑑賞だけでなく、園内には自然学習センターが設立されているので、周辺の自然に関する知識を身に着けることも可能だ。
 また、数々のレクリエーションを愉しむことができ、バードウォッチング、ハイキング、磯遊びなど、大人から小さな子供まで1日中遊びに事欠かない。
 4月 11月の間は、海岸線に面した施設でバーベキューができるので計画してみてほしい。

丸岡城

TEL 0776-66-5880
(坂井市丸岡観光協会)
アクセス 車 約15分

 天正4年(1576年)、織田信長の命により柴田勝家が自身の甥に建築させたもので、現存する天守閣では最古級だという。
 城は標高約17mの丘に建ち、天守閣はさらに高さ約6.2mの石垣の上にそびえているため、その様は目を惹く。
 築城400年を記念して造られた日本庭園式公園があるため、いつ訪れても美しさに触れることができるが、見頃は春だろう。
 公園内には400本のソメイヨシノが植えられ、日本のさくら名所100選に認定されているのだ。
 4月には城下で丸岡城桜まつりが行われるというので、ぜひ雅な日本の風景に触れていただきたい。

access

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〒910-4104 福井縣あわら市温泉4-510

【電車】
・[北陸新幹線]金沢駅→[JR北陸本線]芦原温泉駅 特急約35分 
 タクシー 約10分 ※芦原温泉駅より送迎サービス有り
【飛行機】
・小松空港 車約30分 
【バス】
・和歌山バス 加太駅前停留所 下車
【自動車】
・北陸自動車道 金津IC→東尋坊方面へ約15分、福井市内→約30分

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