旅館すぎもと
女鳥羽
甲信越/长野県/美原温泉
乗鞍の頂きを望み、ゆるやかなサウンドに身を預ける。
心地良い音楽が旅人を迎えてくれる宿
JR松本駅からタクシーでおよそ20分。
市街地から少し離れた山裾に湧出る美ヶ原温泉は、古く奈良時代初めに「束間の温湯」として日本書紀に記され、江戸時代には信濃国松本藩の御殿湯が置かれていた歴史ある温泉地だ。
それほど大きくはないその温泉街の細い路地の先に「旅館すぎもと」の暖簾が見えてくる。
瀟洒なシャンデリアの光を艶々と照り返すアンティークソファが置かれたフロント前のロビーでは、心地良い音楽が旅人を迎えてくれる。
音楽に誘われて隣の談話室をのぞくと、窓から差し込む淡い光を浴びなめらかな飴色を魅せる松本民芸家具と、棚にさり気なく並べられた使い込まれたカメラ、その奥には豪勢なオーディオセットと何やらトロンボーンのようなスピーカーが目に入る。
丁寧に拭き込まれ深い色合いが美しいチェアに腰を下ろし、管球パワーアンプの名機Mcintosh MC275や独特のデザインが際立つB&Wのエンファシススピーカーが織りなすジャズの音色に聞き入ると、この「旅館すぎもと」が知る人ぞ知る宿主花岡貞夫氏の豊かな感性に満ち満ちた世界であることに気付かされることだろう。
「旅館すぎもと」の最上級の部屋
17ある客室にもその感性が随所に見られる。
市内の地名からその名を取った「女鳥羽」は、「松軒荘」の3階にある「旅館すぎもと」の最上級の部屋。
磨き上げあげられた松本民芸家具とフローリングが美しいい板の間、たっぷりの光が差し込む窓から北アルプス乗鞍岳を望める広縁付の和室、ツインベットが置かれた和室ベットルームに加え、隠れ処の如きロフトまで備えた余裕の空間を自由に使うことができる。
そしてこの部屋に置かれたオーディオは、今は亡きオーディ御三家の一つ山水電気の名機ステレオパワーアンプBA-2000とコントロールアンプCA-2000。
30年前の機械でありながら未だに多くのファンの心を震わす音色は、壮観のアルプスとともにこの部屋を選んだ人だけが味わえる贅沢なのかもしれない。
木の香りが馥郁と立ち込める湯
長野出身の作庭家、小口基實氏設計の「七福の庭」を横目に大浴場へ向かう。
この庭には江戸時代、御殿湯が置かれていた時からお湯を湧き出している「束間の湯」の源泉井戸があり、大浴場の湯にも当然使われている。
大浴場の湯屋には、木曽五木(檜、槇、椹(サワラ)、檜葉、黒檜)が使われ木の香りが馥郁と立ち込めている。 アルカリ単純泉の湯は肌にやさしく泉温も高くないので、由緒ある湯にゆっくりと浸かっていられる。
なお大浴場では泉温を上げるのと消毒濾過のためお湯を循環させている。
せっかくの自家源泉を、ということであれば、檜造の貸切風呂もあるので源泉掛け流しを愉しんでもらいたい。
主人手ずから饗する創作「酒肴料理」
夕食は大浴場のある建物「松軒楼」の道向にある、土蔵を模した「泉雲閣」のお食事処でいただく。
「泉雲閣」へは道路を渡っても行けるが、ここはフロント横から降りていく地下通路からをお奨めする。 竹垣の壁に掛けられた絵画などに目をやりながら幻想的なトンネルを抜けると、民芸風のお食事処「おりがみ」につく。
高い天井と白壁が開放感を与えるこちらでは、掘り炬燵式のテーブルでゆったりと食することができる。
なお「おりがみ」の他にも黒光りする堂々とした梁が美しいテーブル席の「弧月庵」や個室のお食事処もあるので、お好みで選んでもらいたい。
「旅館すぎもと」で供される食事は、旅館で一般的に出されるいわゆる「○○風懐石」とは違う。
多才な趣味人である宿主花岡氏の感性が最も光るのは、厳選した旬の食材を、こよなく酒を愛する主人手ずから饗する創作「酒肴料理」なのだ。
先付から始まる「束間野会席」と名付けられた御馳走は、季節の、地元の食材を活かして、そこに酒客の嗜みを知り尽くした主人の一手間が加えられた絶品の数々が、酒の、食事の進み具合に応じて絶妙のタイミングで供される。
ぜひ地の酒9つを利き酒できる「地酒セット」ともに珠玉の酒肴を召し上がっていただきたい。
締めには主人が手打ちした名物十割そばもいただけるが、この幸せは先着10枚だけ。忘れずに食事前に頼んでおくべし。
珠玉の酒肴と地酒で微酔の後は、落ち着いた照明の下樹齢500年の栃の木でできた大テーブルが印象的なバー「ひびき」でもう一杯。
McintoshアンプとJBLスピーカーが奏でるレコードを聴きながら味わう主人好みのアイラモルトは、その個性的なフレーバーとともに「旅館すぎもと」でのおもてなしをいつまでも心に留めさせるだろう。
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photo
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明るい陽射しが差し込む3畳の広縁付和室。窓を開ければ遥かに乗鞍岳を望むことができる。
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館内最高音質のステレオが奏でるジャズを肴にアイラモルトを嘗める贅沢な時間
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青石を敷き詰めた露天風呂。内湯では馥郁たる木曽五木の香も愉しめる
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長野出身の作庭家、小口基實氏設計の七福の庭には「束間の湯」の源泉井戸がある。
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真剣な表情でそばを打つ主人
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絶品の十割そば
detail
間取り | 板間のオーディオ兼リビングルーム・和室8畳+広縁3畳+ベットルーム6畳+次の間3畳+ロフト [バス無し・トイレ付] |
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設備 | 専用オーディオセット(SANSUI社製パワーアンプ/BA-2000・プリアンプ/CA-2000、DENON社製CDプレーヤー/DCD-755SE)、テレビ、トイレ、冷蔵庫、冷暖房 |
アメニティ | タオル、バスタオル、歯ブラシ、シャンプー、ボディソープ |
チェックイン・チェックアウト | [チェックイン]15:00 [チェックアウト]10:00 |
駐車場 | 20台 |
カード | AMEX / JAL / TOYOTA TS / CUBIC |
温泉
源泉名 | 美ケ原温泉(自家湧湯) |
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泉質・泉温 | アルカリ単純泉(42℃湧出地) |
湯量 | 29.3L/分 |
適応症(効能) | 神経痛リュウマチ・病後回復ストレス解消・運動機能障害・関節痛・筋肉痛・五十肩・神経痛・冷え性 |
温泉の利用形態 | 源泉かけ流し+循環ろ過併用 加水なし 加温あり |
おすすめ
旅館すぎもとの楽しみは数々あれど、主人が手ずから打つ十割そばを外すことはできない。
「そば打ち職人になりたかった」という主人が毎夕宿泊者の眼前でそば粉を練るところから始めるそば打ちは、楽しげに薀蓄を語りながらも次第に熱をおび、その真剣さに心を打たれることだろう。
打ったそばは夕食の締めにいただくことができるが、10人前と限りがある。忘れずにお願いしておこう。
観光スポット
国宝 松本城
TEL | 0263-32-2902 |
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アクセス | 車 約10分 |
日本に4つしかない国宝城郭の一つ。
文禄年間(1593 1594)に建てられた五重六階の勇壮な天守が、戦国時代そのままに保存されている。
天守最上階までの140段最大斜度61度の階段を登れば、城下町や北アルプスが眼前に広がる大パノラマを堪能できる。
四季を通じて様々なのイベントも行われているので、ぜひチェックしてみて欲しい。
日本浮世絵博物館
TEL | 0263-47-4440 |
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アクセス | 車 約10分 |
信州松本の名家酒井家が200年にわたって収集・保存してきた浮世絵コレクションを鑑賞できる、日本最大の浮世絵博物館。
菱川師宣、東洲斎写楽、喜多川歌麿などの名品が常時百数十点展示されている。
安曇野ちひろ美術館
TEL | 0261-62-0772 |
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アクセス | 車 約1時間 |
誰もが一度は目にしたことがある有名な絵本作家いわさきちひろの名を冠した美術館。
36,500㎡にも及ぶ広大な安曇野ちひろ公園の中に建つ美術館では、ちひろの作品だけでなく世界各国の絵本作家の作品や、古代エジプトから20世紀半ばまでの絵本とイラストレーションの歴史が学べる資料も展示されている。
plan
旅館すぎもと
女鳥羽
甲信越/长野県/美原温泉
access
〒390-0221 长野県松本市里山辺451-7
【電車】
・JR大糸線/篠ノ井線/中央本線 松本駅から、アルピコ交通バス美ヶ原温泉線、(松本バスターミナル - 美ヶ原温泉)約20分、美ヶ原温泉から徒歩約2分
・JR松本駅からタクシー約15分
【飛行機】
・信州まつもと空港から信州まつもと空港連絡バス(信州まつもと空港 - 松本バスターミナル)約25分
【バス】
・アルピコ交通バス 美ヶ原温泉線、美ヶ原温泉下車、徒歩約2分
【自動車】
・長野自動車道 松本ICから約20分
Related Links |
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