露天風呂付客室を楽しむ
旅の醍醐味の一つといえば、やはり温泉。
特に寒い時期は、露天風呂にゆっくりと浸り、静かで美しい雪景色を見ながらの雪見風呂なんて洒落ている。
ところで日本には数多の温泉施設があるが、近年は露天風呂付客室を備えた宿泊施設が増えている。
今回は、温泉大好き国家でもある日本の旅人たちがこぞって足を伸ばしているという露天風呂付客室の魅力をご紹介しよう。
露天風呂付客室の魅力とは?
大切な人との「プライベート感」が高まる
普段何気なく一緒に居る相手との何気ない会話が旅行のきっかけになるのは、旅行に求めるものが気負わないプライベート感だからではないだろうか。
そのような要望を汲み取ってか、プライベート感を重視し、露天風呂付客室をつくる宿が増えている。
家族や友人は日頃も一緒に居ることが多いだろうが、敢えて露天風呂に“水入らず”で入ることで絆を深めるのも悪くない。
また、同じプライベート感でも順番を待つような宿の貸切風呂とは違い、自由きままに自分達のスタイルでいつでも温泉を楽しめるのが露天風呂付客室の魅力の一つと言えよう。
開放感のある「自然との一体感」
プライベート感もさることながら、もう一方で露天風呂付客室の魅力と言えば自然と一体になったような開放感で温泉に浸かれることだろう。
木々の薫り、そよ風の囁き、あるいは目前に広がる紺碧の海や満点の星空を眺めながら浴す、至福のとき……疲れ切った現代人には、それ自体が素晴らしい旅の贈り物になる。
その至福が露天風呂付客室なら、外に一歩も出ずとも味わえるのだ。
この贅沢さが何とも堪らず、病みつきになる旅人が増えているのかもしれない。
「気ままに“一杯”」が許される贅沢
「温泉に浸かりながらお酒を飲む」。
そんな極楽体験を一度はしてみたいと思う旅人も多いのではないだろうか。
多くはないが、露天風呂に生ビールや熱燗、旬の貴重な地酒等をサービスしてくれる宿もある。
しかし、露天風呂付客室なら人目も気にせず、まったくパーソナルな空間での口福が約束されるというわけだ。
そんな贅沢体験ができる露天風呂付客室、毎日頑張っている自分へのご褒美にぜひ検討してみてはいかがだろうか?
こだわりの露天風呂付客室をご紹介
ここまで露天風呂付客室の魅力を紐解いてきたが、ひと口に“露天風呂付客室”と言っても様々である。
浴槽一つとっても、檜や御影石など材質によって情緒が異なるだろうし、誰かと一緒に浸かるのが前提ならスペースは広いに越したことがない。
開放感という点では、宿の立地が海辺か山間かで周囲の印象も大きく変わってくるだろう。
そこで今後、露天風呂付客室を予約する上で参考にできるように、こだわりの客室をいくつかご紹介する。
後悔しないためにもしっかり確認していただきたい。
雄琴温泉で最初に創業し今も続く老舗旅館「湯元館」に、平成25年7月新たに設けられた全室露天風呂付の十室からなる「はなれ」が、「湯元館 はなれ 葭蘆葦(かろい)」だ。
「DX葭蘆葦スイート」は、「湯元館 はなれ 葭蘆葦」の7階にある最も広い特別室。
99㎡の広さのリビングに和室、露天風呂、シャワールーム、テラスまで配された贅沢な間取の室内は、二面に大きく開かれた窓から差し込む光を取り入れてよりいっそう開放感のある空間になっている。
雄琴の名湯をなみなみと満たした檜造りの露天風呂に、旅人は驚きと感動を覚えるに違いない。
つま恋温泉 山田屋温泉旅館はまるで昭和の時代にタイムスリップしたような錯覚に陥る、レトロな空気感を感じる温泉旅館だ。
「たる風呂 もみじ」はこざっぱりとした和の風情が印象的な10.5畳の和室と8畳の次間の二間続きで、まるで我が家のようにのんびりと寛げる。
この客室の一番の魅力は、まるで秘密基地のように階段を下りた先に構える堂々としたたる風呂。
大人2人で入っても十分な広さで、木目を活かした優しい内装や、行燈が柔らかな光を灯す情緒溢れる石造りの装飾も心が落ち着く。
高志の宿 高島屋は、主屋や蔵など主だった空間は2004年に国の登録有形文化財に指定されており、木造りの美と粋を体現した岩室温泉きっての格式を誇る名旅館であることは疑いの余地も無い。
「露天風呂付特別室 柊・紫苑」は同じような間取りに檜の露天風呂を備えており、そのうちバリアフリータイプになっているのが「紫苑」だ。
シンプルなデザインの露天風呂は檜の香りが清々しく、肌に優しくまとわりつくような湯と自然の景観を同時に満喫できるのは宿の情緒も増すばかりだ。
お宿玉樹 「桂」
石段街で有名な伊香保温泉にある情緒溢れた和風旅館。
さりげなく飾られた野花や和小物が粋で、旅人の心が落ち着く和やかな雰囲気だ。
「露天風呂付き客室 桂」は平成24年5月にリニューアルされた新しい露天風呂付客室で、縁台が備えられた客室露天風呂はゆったりと手足が伸ばせる広さ。
露天風呂に浸かると四季折々の移ろいが美しい上州の山々を一望でき、開放感は抜群と言える。
温泉は肌に優しいメタケイ酸泉の「白銀の湯」を引湯しているので、何度も客室露天風呂に浸かって楽しんで欲しい。
モアナコースト 「ヴィラ ベル トラモント ハリウッドツイン」
鳴門海峡近くにある、“こだわりの離れ”をテーマとした瀟洒なリゾートホテル。
ゆったり寛げるよう「ハリウッドツイン」は1Fに半露天ジャグジーとリビング、2Fにベッドルームとパウダールームがあるメゾネットタイプの露天風呂付客室だ。
広々とした半露天のジャグジーは、もちろん雨でも濡れることなく快適。
清々しい庭の向うには日本の原風景の里山が一望でき、暮れゆく美しい夕陽を眺めながらシャンパンで乾杯!といった大人の嗜みも可能だ。
白と茶を基調としたスタイリッシュな露天風呂付客室は、女性同士のパートナーやグループにおすすめ。
京YUNOHANA RESORT 翠泉 「翠泉スイート露天風呂付」
“京の奥座敷”と称される湯の花温泉郷にあり、和風の雅を感じさせる高級旅館の佇まい。
「翠泉スイート露天風呂付」は全客室の中でもっとも広く和室とリビング、ベッドルームを配したラグジュアリー感満載の露天風呂付客室になっている。
大きなバルコニーに備えられた客室露天風呂からは、端正な趣の庭園とその向うに自然豊かな丹波の里山が望め、開放感いっぱい。
団体客を受けず静寂と寛ぎを大切にしている旅館なので、自分自身の特別なご褒美として利用したい。
西村屋本館 「飛鳥の間」
城崎温泉で150年の歴史を誇る老舗。
入母屋破風の2階建木造建築、風情豊かな日本庭園、大正ロマンの薫りを併せ持つロビーラウンジを配した純和風旅館だ。
「飛鳥の間」も伝統的な数寄屋造りで、凛とした趣きに落ち着いた雰囲気が漂う露天風呂付客室だ。
客室露天風呂は回廊のような広縁を渡った先にあり、重厚感ある石造りで情緒が溢れんばかり。
しっとりした和の風情を存分に満喫したい旅人には、四季を映す庭園を眺めながらの客室露天風呂は極上だ。
鷹の巣館 「紅の荘/楓の荘」
新潟県荒川峡温泉郷の一つ、鷹が水浴びしていたことから発見されたという鷹の巣温泉に一風変わった宿がある。
吊り橋を渡った先にある鷹の巣館は、3,000坪の広大な敷地内に本館と、一室ずつ意匠が異なる8つの離れを配するが、客室露天風呂を楽しむなら離れの「紅の荘」「楓の荘」をお薦めしたい。
どちらも川沿いに建つ純和風の露天風呂付客室で、二間続きの和室はゆっくり寛げる広さ。
もちろん客室露天風呂からは自然美溢れる荒川渓谷が望め、川面を渡る風や水のせせらぎを耳にしながらいで湯に浸かることができる至福の環境だ。
紅葉色の壁材を配した「紅の荘」と、「紅の荘」よりやや広めの空間「楓の荘」。
どちらもプライベートテラスにハンモックが備えられ、移りゆく季節をのんびり眺められると女性から評判が高い露天風呂付客室となっている。
花紫 「コンフォートスイート夏の1」
加賀温泉郷の一角を占め、北陸新幹線の開通とともに首都圏からの利便性が高まった山中温泉。
山中を流れる大聖寺川の渓流が造り上げた名勝・鶴仙渓のほとりに構えるのが、高級温泉旅館と称される「花紫」だ。
特別室の1つである「コンフォート・スイート夏の1」は間接照明がやわらかい茶を基調とした和モダンのスタイリッシュルームで、暖炉が据えられているリビング、ベッドルーム、和室と、奥にはサウナやシャワーが付いた半露天風呂が備わっている。
窓からは鶴仙渓を眼下に望み、開放感いっぱい。
特別な日に予約したくなる、そんな非日常感が味わえるはずだ。
朝野家 「露天風呂付貴賓室 紺瑠璃」
兵庫県は但馬、春来川のほとりにある小さな温泉地、湯村温泉にある朝野家は、豪勢な飾りを施した荘厳な宿。
茶道・華道・香道の日本文化三道をおもてなしの基本とした、接待も館内の雰囲気にも格調高い日本の伝統的文化が息づいている。
その中で「紺瑠璃」は、全客室の中で唯一貴賓室とされた最上級の露天風呂付客室で、雅な装飾が施された和室や専用の小庭が配される贅沢な空間。
大人二人がゆったり入れる広さの客室露天風呂は総桧造りで、湯に身を沈めるとちょうど雄大な但馬の山々が目に入る設計だ。
但馬の風景を眺めながら源泉掛け流しの客室露天風呂に浸かり、豪華な露天風呂付客室に宿泊……人生で一度は体験してみたい贅がここにある。
和味の宿 角上楼 「萩」
愛知県渥美半島の先端、伊良湖岬にある角上楼は、昭和元年に料亭として創業した昭和のノスタルジックを大切にした宿。
特に「萩」は、昭和レトロの真髄を引き継いだ造りになっていて、映画『釣りバカ日誌2』の舞台となった名物的な露天風呂付客室だ。
客室露天風呂は平成17年に改装して設えたものの150cm角と広々としており、地下約150mの深さから汲み上げる天竜川の伏流水で沸かした風呂は湯が柔らかいと評判。
古き良き昭和の薫りに包まれて和やかに過ごしたい旅人におすすめしたい。
かつうら御苑 「[天-Ten-] コーナースイート4名定員」
熊野三山へと通じる熊野古道で有名な南紀、勝浦温泉に構える和風リゾート旅館で最上のもてなしが約束されるという特別フロアー[天-Ten-]。
“聖地・熊野に佇む天空の別邸”をコンセプトに掲げ、「コーナースイート4名定員」は120㎡もの間取りに洗練されたインテリアを配した和モダンの露天風呂付客室だ。
源泉掛け流しの客室露天風呂はテラスに備えられ、眼下に広がるのは滔々と水を湛えた那智湾の碧。
古より続く自然崇拝の地で、身も心も穏やかにパワーチャージできそう。
和の宿 ホテル祖谷温泉 「雲の上スイート 玉響(露天風呂・足湯付き客室」
徳島の深い山間にある祖谷渓は日本三大秘境の一つと称される自然豊かな場所で、祖谷渓の切り立った断崖絶壁に建つというユニークな一軒宿。
露天風呂付客室に入れば、その立地の恩恵と客室名の由来が十分理解できるに違いない。
マッサージチェアが置かれた寛ぎの間や寝室からは、標高400mからの渓谷美が一望でき、足湯も備える客室露天風呂からの眺望も言わずもがな。
その見晴らしは雲の上に居るような感覚で、湯に浸かりながら抜けるような青い空と深緑のコントラストが心に響く、圧倒的な非日常感を味わいたい旅人はぜひ訪れてほしい。
竹林庵みずの 「古民家別邸[郷]けやき」
静岡は網代温泉にある竹林庵みずのは、威厳ある古木で創り上げられた古民家風の宿。
別邸は、新潟の豪雪地帯にあった3棟の古民家や蔵を移築再生したもので、素材の良さを活かしながら快適な寛ぎが得られるようリフォームしてある露天風呂付客室だ。
「けやき」は粗削りな古材がうまくデザインに調和された、和情緒ながらもスタイリッシュさを感じる露天風呂付客室。
半露天ながら窓を開け放てば碧い山並みの向うに相模灘が一望できる檜の客室露天風呂は、天気が良ければ初島まで望め、開放的なオーシャンビューに心擽られる旅人向き。
漁り火の宿シーサイド観潮 「はなれ 露天付き客室「さいかの郷」 流行(ながれ)」
白亜の街並みが美しい雑賀崎の港町の高台に一軒宿「漁火の宿 シーサイド観潮」はある。
平成26年4月に完成した真新しい「露天風呂付きはなれ客室 さいかの郷」の中でも一番贅沢な造りとされる「流行(ながれ)」は、誰にも邪魔されることなく寛げる、大切な人とのプライベート空間を愉しんで頂くために設えた極上の特別室だ。
窓の外には庭のように開放的なウッドデッキが広がっており、その先に客室露天風呂の「洞窟風呂」が待っている。
隠れ家的な洞窟風呂にはタイル造りの湯船と洞窟の奥には海に通ずるかのような雑賀崎と水平線を望む景色が広がり、心から贅沢な旅情を満喫することができるはず。
こころをなでる静寂 みやこ 「蜜虫」
日本三大名泉の一つに数えられる下呂温泉は大層賑やかな温泉街だが、その中心街から少し離れた坂道の途中に、「こころをなでる静寂 みやこ」はある。
「自然の摂理を理解し、人との調和そして自然と調和する」というオーナーの想いが入った日本庭園を囲むように本館と露天風呂付きの離れが配されており、それぞれから四季折々の草花を愛でることができる。
大正ロマンをテーマに設えられた離れの客室が「蜜虫」。
梁を見せた高い天井から下がるア照明もどことななくモダンな風情を醸し、その暖色の灯りとステンドグラスの鮮やかな光彩がモノトーンな色調のこの離れに蠱惑的な趣を与えている。
専用の露天風呂は岩風呂と信楽陶製壺風呂の二つ。
壺風呂に浸かる際には、名湯の誉高い下呂の湯を満々と湛え、壺から溢れだす湯を眺めて悦に入る贅沢を味わってみるのも一興かと。
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新潟県 岩室温泉
高志の宿 高島屋
露天風呂付特別室 柊・紫苑
- 特別室
- 露天風呂付き
- 檜風呂
- 登録有形文化財
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新潟県 岩室温泉
高志の宿 高島屋
露天風呂付特別室 霧島
- 特別室
- 露天風呂付き
- 檜風呂
- 登録有形文化財
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