二人だからこそ離れ

二人だからこそ離れ

 「毎日が忙しさに追われ、息つく暇もない」。
 そんな読者にとって“何もせずに過ごすこと”は最高の贅沢ではないだろうか。
 これから始まる24時間は、まったく時間を気にせず自分だけのために使える至福のひとときが待っている…。
 離れはそんなわがままに応え、完全プライベートで身も心もリフレッシュできるのだ。
 離れの魅力を知ってしまったら、もう普通の客室では満足できなくなってしまうかも。

離れで過ごす大人時間

「周囲に気を遣わず」ゆったり過ごす

        

 離れで過ごす一番の魅力は、宿に泊まっているにもかかわらず周囲に気を遣わずゆったりと過ごせることに他ならない。
 他の客室が隣接せず静けさを保てるから、わざわざ別荘やセカンドハウスを所有せずとも都会の喧騒を離れてのんびり身も心もリフレッシュできるのだ。
 しかも、あくまでも宿に泊まっているのだからその間のお世話はサービスマンが至れり尽くせり。
 気ままな語らいと自分たちだけの空間を大切にしたい大人な読者にとって、離れは最適な客室タイプと言えよう。

一歩も外に出ず「優雅な非日常感を堪能」

        

 離れに滞在すれば、その空間から一歩も出ずとも優雅な非日常感を味わうことも夢ではない。
 なぜなら、年々人気が高まっている離れを充実させるべく、離れを持つ宿はどこも多彩な別邸ライフの提供に余念が無く離れならではの特別な演出が用意されていることが多いのだ。
 たとえば離れだけを配する広大な敷地に専用プールや散策路が設けられ、紺碧に輝く海原や四季の移ろいを感じられる雄大な山並みの眺望も特等席のごとく遮るものは何も無い。
 幻想的で凝った広めの露天風呂やエステの施術など、上質な癒しの時間と非日常を離れならではのサービスでたっぷり堪能できる。

「愛するペット」と“家族水入らず”も

        

 愛犬家の読者の中にはペットと一緒に出掛けたいという方も少なくないことだろう。
 普通の宿では同宿が限られるが、もともと隔離されている離れなら“愛する我が子”と共に夢の時間を過ごせる可能性も広がる。
 中には小型犬のベッドが備わっていたり、特別専用風呂で一緒に入浴できたり、フェンスで囲ってある専用の庭園なら存分に楽しませることができよう。
 かけがえのない時間を文字通り“家族水入らず”で過ごして欲しい。

おすすめの離れ客室をご紹介

 宿に泊まっているのにどこかほっとする、非日常の中で最上級の憩いと安らぎをもたらせてくれる離れは、前に述べたように各宿によって様々な趣向が用意されている。
 これからご紹介する一押しの客室をチェックいただき、日々忙しいあなたも訪れればゆっくりと深呼吸できる、そんな心の故郷を見つけていただきたい。

高志の宿 高島屋 離れ「古民家風離れ 竹亭」の写真

高志の宿 高島屋 「古民家風離れ 竹亭」

        

 高志の宿 高島屋は、国の登録有形文化財に指定された木造りの美と粋の旅館で、歴史を語るすべてが面影色濃く、今は「高島屋」の数奇を凝らしたもてなしになっている。
 “昔ながら”が贅沢な離れ「竹亭」は、およそ180年前の古民家を移築したもので、古き良き日本の暮らしを感じる和空間が広がる。
 椅子を配した広縁も昔ながらのゆとりある造りで、飴色に磨かれた板の間の感触が素足に心地よく、心のふるさとに来たような感興を味わうことができ、旅をいっそう思い出深いものにしてくれるはずだ。

間人のお宿 炭平 離れ「海鈴-kairin-」の写真

間人のお宿 炭平 離れ「海鈴-kairin-」

        

 日本海に抱かれる京都府の漁村、丹後町間人に構える炭平はもともと料理商として開業した歴史を持ち、以来丹後でもっとも古い老舗旅館として伝統のおもてなしを今に伝えている。
 離れの「海鈴-kairin-」は、そんな炭平の地域に根差した歴史が凝縮された造り。
 柔らかな灯りが揺れる高天井は伝統的な郷土建築の技法で組み上げられ、間人の悠久の海をイメージしたという漆喰の壁がそれを支え、天然い草の畳は素足に心地いい。
 海側に大きく取られた窓からは遮るものが何もない日本海の大パノラマが拓け、朝に晩に刻々と表情を変える雄大な自然美にほっと心が洗われる。

間人のお宿 炭平 離れ「季音庵 風乃音」の写真

間人のお宿 炭平 離れ「季音庵 風乃音」

        

 炭平に二棟並ぶように配置されている離れは、季節の移ろいと共に優しく響く日本海の風の音・波の音を感じることができる「季音庵」。
 その一室「風乃音」は、寝室の枕元に架かる色鮮やかな丹後ちりめんの着物帯装飾や、美しい丹後の砂浜をイメージされた枯山水の坪庭に京の奥ゆかしさが漂う和風の装い。
 二人で浸かってもゆったりできる広めの露天風呂は斬新にくり抜かれた壁から壮大な海と大樹が望め、静寂なひとときに風の音を聞きながらゆったり愛でてはいかがだろう。

間人のお宿 炭平 離れ「季音庵 波乃音」の写真

間人のお宿 炭平 離れ「季音庵 波乃音」

        

 「季音庵」のもう一室、「波乃音」は寝室や浴槽に丹後の澄んだ美しい水をイメージする銀の装飾があしらわれた華やかで和モダンな離れ。
 色鮮やかな丹後ちりめんの着物帯はリビングに設え、銀のあしらいとのコントラストに映えるよう紅などビビットカラーを採用している。
 スタイリッシュな黒石縁の露天風呂はテラスが備わり、その向うの枯山水の坪庭へと続いてゆったりとした空間を創り上げ、くり抜き壁を通して日本海のさざ波の音がかすかに聞こえてくる。

鷹の巣館 「柏の荘」の写真

鷹の巣館 「柏の荘」

        

 江戸時代後期が発祥とされる鷹の巣温泉に約3000坪の敷地を持つ老舗宿は、本館の他に一室ずつ意匠が異なる8つの離れが自慢。
 「柏の荘」は、直線的な美しさが光る数寄屋造りの和室が二間続き、広縁を通して月見縁台まで繋がる広々とした特別室の離れ。
 その先には清流荒川のせせらぎと鷹の巣山の自然美が大きく拓け、まるで1枚の絵画を眺めているようだ。
 月見縁台に備わる露天風呂には源泉かけ流しの湯が溢れんばかりに注がれ、春には満開のソメイヨシノを愛でられるというからぜひ花見風呂といきたい。

鷹の巣館 「紅/楓荘」の写真

鷹の巣館 「紅/楓荘」

        

 鷹の巣館にある8つの離れの中で、特に女性人気を集めているのが「紅の荘」「楓の荘」の2つ。
 「紅の荘」は、床の間や違い棚に大工職人の息吹が漂う和室に鮮やかな紅色の壁がアクセントになった落ち着いた空間の離れ。
 それは京のお茶屋を思わせる雅な風で、プライベートテラスに備わる木の質感が温かいソファや2ヵ所に設置(楓の荘は1ヵ所)されたハンモックによって遊び心も加えられている。
 「楓の荘」も同じ広さを有し壁の色はシックな藍色。
 本を片手にハンモックに揺られ微睡めば、まさに非日常の贅沢なひとときだ。

高原の指定席 ザ・ヴィンテージビュー 離れ「プレミアムツインスイート」の写真

高原の指定席 ザ・ヴィンテージビュー 離れ「プレミアムツインスイート」

        

 「那須高原 高原の指定席 ザ・ヴィンテージビュー」はオーベルジュスタイルを満喫できる静かな宿。
 雄大な那須高原の高台に佇み、遮るものが何もなくどこまでも広がる大自然と青い空の解放的なロケーションは、ゲストの心に圧倒的な感動を刻み込むに違いない。
 「プレミアムツインルーム」は本館に隣接した離れ形式の客室。
 ペット可・ペット不可の2タイプが用意され、ペット可の客室ではペットと一緒に食事することもできる(別途料金)。
 出入り自由な独立玄関が設けられ、スタイリッシュな家具と柔らかな照明が瞬く白と茶で統一された空間は、まるで自宅にいるかのような寛ぎ感で、窓際に置かれたリクライニングチェアに身を委ね誰に気兼ねすることなく足を伸ばせば旅の疲れも一気に癒されてしまう。
 ペットの足洗い場や専用シートも完備されているので、家族水入らずの贅沢な時間を堪能して欲しい。

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「蜜虫」の写真

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「蜜虫」

        

 日本三大名泉の一つに数えられる下呂温泉の中心街から少し外れた所に構える「みやこ」は、四季の移ろいや人の温かさを感じる“大人の粋”をおもてなしに掲げている。
 本庭園を囲むように本館と共に並ぶ露天風呂付き離れは全4室あり、その中で「蜜虫」は大正ロマンをイメージした造りの離れ。
 雰囲気のある古材やステンドグラスを採用した飾り窓は、モダンながらどこか懐かしい風情を醸し出し、全体的にモノトーンの落ち着いた色調と相まって訪れた全ての客人に心からの安らぎを与えてくれるだろう。

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「雨音」の写真

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「雨音」

        

 同じく「みやこ」の離れである「雨音」は、和の趣を大切にしながらもアジアンテイストを取り入れた造りの離れ。
 木の温もりを感じるチェアや金属線で形作られたペンダントランプ、竹の風合いを活かしたパーテーションなどさりげなく置かれた小物から異国情緒が漂い、間接照明の柔らかな灯りが魅惑の空間をそっと彩る。
 石を濡らす雨音や風に揺れる草葉をただ眺めながらリゾート気分に浸る至福の幸せを感じていただきたい。

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「花筐」の写真

こころをなでる静寂 みやこ 離れ「花筐」

        

 同じく「みやこ」の離れである「花筐」は、火鉢が置かれた土間付き板の間と座椅子が置かれた10畳の和室を配した和の情緒溢れる造りの離れ。
 古材を配した漆喰塗り壁や古色漂う和箪笥の存在感が、日本古来の土間と火鉢を組み合わせた空間にさらに美しい和の彩りを添えている。
 庭の草木のすぐそばに据えられた露天風呂も古風な岩造りで、ゆったり下呂温泉のいで湯に浸かれば日本人に生まれたことを心から感謝したくなるはずだ。

有馬山叢御所別墅 「ヴィラ」の写真

有馬山叢御所別墅 「ヴィラ」

        

 日本最古の温泉地と称される有馬温泉、その中で最も老舗宿とされる陶泉御所坊(1911年創業)の十五代目が運営を開始した全室離れの造り。
 「ヴィラ」は清らかな水を湛えた清水池に面した100㎡の木造平屋で、高い天井と大きく取った窓から陽光が射し込む開放的な空間。
 サーマルルームというヨーロッパで用いられる低岩盤浴が備えられており、好きな飲み物を持ち込んで友人と楽しく語らう寛ぎのひとときを過ごしてはいかがだろう。

仙郷楼 別邸「奥の樹々 Aタイプ」の写真

仙郷楼 別邸「奥の樹々 Aタイプ」

        

 創業明治3年の仙郷楼は、約1万5000坪の広大な敷地に本館含む4つの棟が隣接し箱根外輪山の眺望が素晴らしい老舗。
 本館の左手に構える「奥の樹々」は温泉露天風呂付の全6室の離れで、和の風情が心を優しく癒してくれる空間だ。
 「Aタイプ」の客室は10畳の和室2間とジャグジーを設えた内風呂、露天風呂を有した、1泊で帰るのはもったいないくらいの豪華な造り。
 露天風呂にはほんのり硫黄の香りがする白濁の湯が源泉かけ流しで満々と湛え、ゆったり湯の贅を堪能して欲しい。

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